50年間、歯を磨いたことがなかったら……!?
投稿日:2013.04.27
長年いろいろなお口の中を診させてもらってきた幣院の長年のスタッフたちもびっくり(+o+)
少し前から通ってくださっている患者さん、なんと「過去50年ほど、一度も歯を磨いたことがなかった」のです!
自己申告いただいたのは、
「……で、50年ぐらいは歯、磨いたことないねぇ。歯医者も人生で一度しか行ったことがないし。そう、50年以上前に一度行ったきりだなぁ……」
にこにこしながらお話されているお口をちらっと覗くと……
たしかに、いや間違いなく「まったく磨いたことありません!」的な雰囲気が漂っていました。
どの歯も50年分の汚れでコーティングされて、ぱっと見て、歯だとは思えない色と形。
歯の表面に漆喰を塗りたくったような感じです。
ただ、もともと残っているご自分の歯の本数が少ないのが幸いでした。
一本一本が単品として生えているので、隣り合う歯の間に汚れがたまるということはないからです。
もししっかり歯が残っていたら、もっとひどい状態だったはずです。
「50年磨いてないって……若い頃以来ってことよね……?」
「50年以上前に歯医者って、それって戦前ってことだよね?」
お年からいろいろと想像しつつ、悪い歯の治療と平行して、お掃除を定期的にすることになりました。
50年磨いていない。
つまりそれは、50年間、一度も歯ブラシを持ったことがないという意味です。
ブラッシング指導も、歯ブラシの持ち方から教えるところから始まりました。
少し話がそれますが、よく巷でも耳にする「ブラッシング指導」や「歯のお掃除」。
歯医者さんで、衛生士さんなど歯磨きのプロに、どうやって磨くのか教えてもらったり、自分では取れない汚れを機械を使って取り除いてもらうことを言います。
ですが、ブラッシング指導や歯のお掃除に来られても、家で続かなかったり、家ではなにもしないという患者さん、けっこう多いんです。
歯医者できれいにしたから、もう家ではいいや、みたいな。
「歯のお掃除」は継続が大事です。
歯医者に来るときだけではなく、家でもやることが大事。
じゃないと、ダイエット道場に通ってせっかく2泊3日で3キロやせたのに、家に戻ってきたら「3キロ痩せたからもういいか」と、また食べて元の木阿弥……なんてのと一緒になってしまいます。
というわけで、この50年歯を磨いていなかった患者さんのときも、「これから家で磨いてくださいね」とお願いしたわけなんですが……
なんと、この患者さん、すっごくしっかり磨いてきてくださるようになったのです!
毎日ちゃんと。
しかも、歯ブラシの次は、歯間ブラシを購入して、ご自分でしっかりケアされるまでに成長(?)されたのです!
定期的に来てくださるたびに、お口の中がきれいになっていくのが目に見えてわかるのは、歯医者で働く私たちにとってとっても嬉しいことです!
頑張ってくださってるんだな。
じゃあ次は、もっときれいになる裏ワザを教えてあげよう。
こちらも、がぜん頑張ってしまいます(笑)
患者さんが自発的に歯のケアをされる姿を見るのは、私たちにとってとっても嬉しいこと。
「自分の歯は大事にしなきゃいけない」
「歯は一度傷ついたら、二度と前の姿には戻らない」
そう自覚して、セルフケアされる患者さんには、細九長くずっと続けていっていただきたいです。
今日明日で見違えるように変わることはなくても、10年後、20年後に絶対に違いがでてきます。
たとえば、幣院に通っていらっしゃる方で、すでに喜寿を迎えようかというお年の患者さんですが、しっかり上も下も28本、健康な歯がそろっていらっしゃる方がおられます。
この患者さんは、1から2か月に一度、通ってくださって、ちょちょっとお掃除されるのですが、おうちでもちゃんとご自分で磨いて、ケアされているそうです。
普段は歯を磨いて歯間ブラシで隙間をきれいにするだけ……だそうですが、これぞ長年のセルフケアのたまものだなぁ~と、ほんと感心してしまいます。
なにごとも、自分次第ですね!